外反母趾の原因と接骨院での治療

外反母趾とは
足の親指(母趾)が小指側に向かって曲がり、第一中足趾関節が変形する状態です。外反母趾角が15度以上になると外反母趾と診断され、進行すると親指の付け根に痛みが現れ、歩行困難になることもあります。

外反母趾の主な原因


足の構造的要因
足のタイプによる違い

  • エジプト型:日本人の約70%を占め、親指が最も長い形状。最も外反母趾になりやすい
  • ギリシャ型:人差し指が親指より長く、約25%の日本人に該当
  • スクエア型:親指から中指まで同じ長さで、日本人には少ない

アーチの問題
扁平足・開帳足の影響

  • 足の縦横のアーチ構造が弱まることで、足の衝撃吸収能力が低下
  • 開帳足では横のアーチが崩れ、中足骨が広がって外反母趾の原因となる

女性特有の要因

  • 筋力の低下:男性より筋肉量が少なく、親指を支える筋力が不足しがち
  • 女性ホルモンの影響:靭帯が柔らかくなりやすい
  • ハイヒール:体重が前足部に集中し、つま先への圧迫が増加

生活習慣による要因
現代のライフスタイルの問題

  • 靴を履く時間の増加により、裸足で過ごす時間が減少
  • 歩行量の減少による足底筋群の筋力低下
  • 不適切な靴選び(サイズが合わない、つま先が狭い等)

外反母趾の進行度と症状

軽度(15-20度)

  • 見た目の変形は軽微
  • 靴を履いた際に違和感を感じる程度

中等度(20-40度)

  • 明らかな変形が認められる
  • 靴に当たって痛みが生じる
  • 歩行時の不安定感

重度(40度以上)

  • 著明な変形と機能障害
  • 常時痛みが存在
  • 歩行困難、他の足趾への影響

接骨院での外反母趾治療

専門的な診断とアプローチ
接骨院では、骨格や筋肉の専門家である柔道整復師が、外反母趾の根本原因を総合的に評価します。整形外科との違いは、手術に頼らない保存療法を中心とした治療法を提供することです。

主な治療方法
テーピング療法

  • 親指の位置を正しく矯正し、横アーチを支える
  • 歩行時の痛みを軽減し、変形の進行を抑制
  • 個人の症状に合わせたオーダーメイドのテーピング

手技療法

  • 足底筋膜やアキレス腱の緊張を緩和
  • 足全体の柔軟性向上
  • 血流促進による痛みの軽減

物理療法

  • 高電圧療法(ハイボルト):痛みの緩和と血流促進
  • 超音波療法:深部の組織への治療効果
  • 温熱療法:筋肉の緊張緩和

運動療法指導

  • 足指の筋力強化エクササイズ
  • 正しい歩行指導
  • 自宅でできるセルフケア方法の指導

接骨院治療の効果と期待値
改善が期待できる症状

  • 歩行時の痛みの軽減
  • 足指機能の改善
  • 進行の抑制(軽度~中等度の場合)

治療期間の目安

  • 痛みの軽減:平均1ヶ月程度
  • 形状の改善:継続治療により6ヶ月で平均30%の改善(個人差あり)

自宅でできるセルフケア


足指体操
グーパー体操

  • 足指でグー(握る)とパー(開く)を繰り返す
  • 母趾外転筋の強化に効果的
  • 1日10-20回、数セット実施

ホーマン体操

  • 両足のかかとを合わせ、親指にゴムをかけて外側に引く運動
  • 親指の可動域改善と位置矯正

タオルギャザー

  • 床にタオルを置き、足指でたぐり寄せる運動
  • 足底の筋肉強化に効果的

つま先立ち運動

  • 母趾や足底の小さな筋肉を効率的に鍛える
  • 歩行の安定性向上と疲労感の軽減

予防対策


適切な靴選び
理想的な靴の条件

  • ヒールの高さは3cm以下
  • つま先に1-1.5cmの余裕
  • かかとと甲がしっかり固定される
  • 足幅に合ったサイズ

生活習慣の改善
日常生活でできること

  • 裸足で過ごす時間を増やす
  • 5本指靴下の着用
  • 正しい歩行姿勢の意識
  • 定期的な足指運動

まとめ


外反母趾は複数の要因が重なって発症する疾患であり、早期の対応が重要です。接骨院では手術に頼らない保存的治療法を中心に、個人の症状に合わせた包括的なアプローチを提供しています。

接骨院治療のメリット

  • 手術を避けたい方に適している
  • 根本原因へのアプローチ
  • 日常生活指導も含めた総合的なケア
  • 比較的低侵襲な治療法

治療を受けるタイミング

  • 痛みや変形を感じ始めた初期段階
  • 靴に当たって違和感がある時
  • 歩行時に不安定感がある時

外反母趾でお悩みの方は、症状が進行する前に専門家に相談することをお勧めします。適切な治療と予防策により、痛みの軽減と進行の抑制が期待できます。

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記事監修者

院長 市川 大起

スポーツ経験と数々の怪我を乗り越えた“実体験からの施術”が信条。高校〜大学までハンドボールに打ち込み、腰椎分離症・膝靱帯損傷・交通事故など、数多くの怪我と向き合ってきた経験を持つ。「やりたいことができない日々」の苦しさを知っているからこそ、痛みに悩む患者様の気持ちに深く共感できる。

接骨院の先生方に支えてもらった経験が、この業界に進む原点となり、今では“自分が誰かを支える番”という思いで、日々施術と真摯に向き合っている。